林市長への質問内容

横浜市政

 

2月27日に開かれた平成25年度第一回定例会本会議において、みんなの党を代表して篠原豪が林市長へ質問を行いましたことは先日お伝えいたしました。本日はその具体的内容をお伝えさせていただきます。


私が今回質した項目は以下のとおりです。


(1)市政運営の基本方針
(2)健全な将来財政の実現に向けた取り組み
(3)財政とまちづくりから見る新市庁舎問題
(4)文化と文明のマイルストーン都市を目指した取り組み


新市庁舎問題をはじめ横浜市の現在の進めている施策は市民感覚からずれ、将来に多大なツケを回す流れが見られます。そこで将来世代に責任ある立場として、多元的な視点を取り入れ厳しく質しました。


以下に質問内容と問題意識を、全文掲載させていただきますので、長文ではありますが、お時間のある方はお目通し頂ければ幸いです。

————————–
「平成25年度第一回定例会本会議において 篠原豪 質問内容」

【市政運営の基本方針】


篠原豪です。みんなの党横浜市会議員団を代表し、質問させていただきます。

さて、将来世代や弱者に対し負担をどんどんつけ回そうという、無責任のビジョンなきばらまき市政は、もういりません。それを時代に合わない肌感覚で押し進めようとしているのであれば、時に厳しいといわれても、市民当たり前の感覚を大切に声を上げたいと考えていますし、本市の成長や発展のためのマイルストーンがあるのであれば、全面的に応援をさせていただきたいと考えています。

今、明治以降続く中央集権体制をまさに打破すべき時が来ています。横浜と横浜人が求めるのは、新しい横浜づくりです。そのために20世紀型の政治・まちづくりから、21世紀型の新しい政治、まちづくりへの転換が求められます。これは未知の領域に対して挑戦するものであり、これまでの安易な考えや政治手法で解決できるものではなく、どのような理念でこの横浜を作るのかが求められます。

そのためには時代を大局観で捉え、目指すべき理念を掲げ、市民の後押しを受け、将来への新たな道筋を示すのが市長のあるべき姿だと考えています。ところが市政方針には、戦後の高度経済成長期時代以降の経験、少子高齢化、経済の疲弊、将来の社会保障への不安など、政治家ならおおよそ誰しもが言える認識は記述されているものの、五里霧中の21世紀宇宙船地球号を航海する369万人の乗船する横浜丸の船長として、どう未知の領域を航海して行くのかといった進路の本質は、あまり触れられていないように思います。

昨日までのご答弁を伺っても、国の補助金について「最大限に活用し」というフレーズが何度も繰り返されることが象徴するように、中央集権と地方自治の国が上で自治体が下という古い考え方により、国のお金をもらえばもらうほど、横浜市の借金も市債発行というセットでどんどんと増えることについてはあまり表出ないように思います。この失われた20年、旧来型の政治手法で積み上がった借金に、国も横浜市も疲弊し、大変なことになっている現状を直視していただければと思います。

ここから目を背け、過去からの古いしがらみ政治にとらわれれば、どれだけ美辞麗句を施政方針に並べ立てても、実際には将来にツケ回すように見えるわけです。で、誰が借金の責任を取るのでしょうか? 次世代の子供たち、またその子供たちではないですか? こんなことを平気で許してはいけない。【Q】そこで、先行き不透明な時代の今こそ、市長として、旧来型の施政運営を見直し、子供たちの将来にツケを回さぬ新たな道筋を示し、次代に責任がある市政運営を行うべきと考えますが、いかがでしょうか?



【健全な将来財政の実現に向けた取り組み】


次に健全な将来財政の実現に向けた取り組みについて、確認させていただきます。

横浜市は地方自治法に基づき現金の収支を基準とするいわゆる「現金主義」で会計処理を行っています。このため、税金でこれまで形成された「資産」も、将来世代が負担する「負債」が、どんな形でいくらあるのかも、実は十分に分かっていません

平たく言えば、横浜市はこれまで約10兆円の資産があって借金は約3兆円としていますが、この10兆円は、実は公正価値評価を行った時価額的なものではなく、建設事業費等を積み上げた簿価額的なものであり、実際の資産や負債がいくらなのか、これまで誰もよくわからないままきているのです。

この問題解消のため、平成26年度より新公会計制度が導入されることになり、現金主義の弱点を補うため、企業会計を採用した財務書類づくりが求められることになりました

この点、私が23年度決算連合審査会の場で指摘をし、公正価値評価は優先順位が高いことから、いつまでにやるかについてご質問したところ、「段階的に進め、24年度中に公表する」とのご答弁をいただきました。残すところあと一月あまりですので、【Q】その進捗状況を確認をさせていただければと思います。

また、昨年の第3回市会定例会の一般質問において我が会派の大岩議員より、公営企業会計基準の変更への対応状況を質問させていただきましので、これについても【Q】現時点での進捗状況を確認させていただければと思います。

我々が提案した公共マネジメント白書作成もこういった問題の解消を主眼にしているものであり、財務書類の整理が進めば、本市財政状況の実体と現代的特性が明らかになる日も近いわけで、あと少しだと思いますので、ぜひ頑張っていただければと思います。
ところで、資産と負債のバランスをきちんと把握し、現実が明らかになると、なおさら、今後も長期にわたる市の財政状況は厳しくなると思います。

新市庁舎建設なども検討されている今こそ、施策と財政のバランスを取るため、口ばかりではなく本物の財政規律のあり方検討が必要だと考えます。これも私から質問させていただきましたが、その際、今後、長期的な財政見通しなどを踏まえ、財政の健全化を維持していくため、財政規律のあり方を検討していただくとのことでした。

そこで、【Q】その後、財政規律のあり方の検討状況はどのようになったか、お教えください。また、長期見通しについては、今後20年ではなく、30年までは最低限必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

これは、新庁舎建設経費をひとつ例にとってみて、償還想定年数などを考えると、作る時だけは作ることを前提に単体で総事業費約1400億円という30年の見通しを立てるわけですが、もう一方の横浜市本体のお金の計算が存在しません

せっかく長期見通しを出していただいたのに恐縮ではありますが、やはり長期見通しを市民と議会へ提供し、これを素材として、どのような政策を展開するのか、その方針を示すのは市長の責任だと思います。

そして長期見通しを踏まえ、市がどのような政策を展開するのか、新市庁舎建設だけを取り出して示されても、他の施策も含めた政策の全体像が示されなければ、財政運営を含めた必要な政策議論はできないわけで、市長は、市政運営の基本方針において「骨太のまちづくりの戦略」を大胆に描くと言っていますが、そのためには、骨太にするにはカルシウム的購入費が全体でいくらで、財政への影響の実態はいくらになるのか、きちんと明らかにしていただくことを要望します

もう一つ、財政に関連し要望させていただきたいのが、予算編成過程の情報提供の一層の推進です。

これも昨年の決算総合審査において質問し、25年度予算編成から事業ごとに内容の詳細を記述した「事業計画シート」を、議会議決後ではありますが、全てインターネットで公開していただけることとなりました。このことについては率直に感謝しています。

一方で、これまで総合調整等の主要な事業などが、局からの要求段階から最終予算案までの経過を公表しており、こちらは来年以降、議会の議決前に公表していただければ、大切な情報公開となりますので、このことを要望させていただきますので、ご検討よろしくお願いいたします。

【財政とまちづくりから見る新市庁舎問題】


さて、市庁舎問題についてです。昨日、我が会派の串田議員より、主にアンケート等について伺いましたが、それ以外について会派を代表し質問させていただきます。

まず、先ほど長期財政見通しとの相関関係についてです。今回の市庁舎検討は、市債を発行する案となっていますが、【Q】長期財政見通しを見れば、横浜市財政は一五年でも毎年500億円程度の大幅な赤字という現実、30年という期間で市全体の財政状況が計算されていないことを受けていない中で、今日という日に、この厳しい財政状況の中で本当にやっていけると思うのか、市長にそれぞれ見解をお伺いいたします。

また、今回の基本構想案では、新市庁舎の整備場所として整備パターンごとの収支シミュレーションが行われていますが、どの案も北仲通南地区に高層ビルを建てるという前提になっています。これは、前市長時代にURから土地を種地として取得したためとしていますが、この土地の取得契約を解除すれば、事業費を圧縮することができるのだと思います。

そこでまず、【Q】市長は北仲通南地区の土地の契約の解除と、都市計画の変更ができることをご存知かどうかを確認させていただきます。

その上で、【Q】契約を解除することは、市費の負担を軽減できる一助となると考えますが、そのような検討を本気でしてこなかったのかについて、お伺いいたします。

次に、今回、基本構想を策定するとのことですが、このまま、基本計画、基本設計へと、次々になし崩し的に着工へと進むのではないかと心配している市民も多いと思います。【Q】この点について、今後どう進めていくのか、市長のお考えをお伺いします。

そして、この観点からも、建設を決定する前には、市民に対してきちんとした説明と意見募集なりパブリックコメントを実施すべきだと思います。【Q】これまで賛否そのものを市民に問うていないわけで、このことも含め意見をきちんと反映した上で、基本設計に入るか、時期尚早であるかを判断すべきと思いますが、市長、いかがでしょうか?



【文化と文明のマイルストーン都市を目指した取り組み】


さて、ここまで厳しい時代の厳しい財政の中、横浜市のお金の問題、将来にツケと、市庁舎問題について伺ってまいりました。

ここからは、ひとつ見方を変え、発展と進歩、21世紀国際都市横浜ならではの、大チャンス到来の契機を生かしてやっていこう、という点について伺います。視点は「文化と文明、21世紀マイルストーン都市を横浜が目指して」です。

まずは文化的マイルストーンについてです。「港町ヨコハマ」という言葉が示すように、横浜を語る時、1859年の開港以降を意識する人が多いでしょう。しかし私は、横浜の歴史は開港からだけではなく、上古の昔から人々の暮らしが営々と築かれてきた地であり、歴史も文化も、都市の発展には欠かせないものと考えております。

そういった中、いよいよ6月に「武家の古都・鎌倉」の世界遺産登録が決定するかもしれない状況で、横浜の歴史をどうとらえるか、今一度再評価する良い契機だと思います。例えば、鎌倉時代、日本の中心は京だけでなく関東鎌倉にあって、鎌倉文化圏の中には、今の横浜市域全域が入っていました。こういった観点から、今一度、【Q】世界遺産の登録に際し、横浜の歴史認識について、市長の再評価を伺います。

林市長は、能や狂言から落語まで、伝統芸能がお好きだと聞いています。ところが今の観光施策は開国以前の文化、とりわけ江戸以前を忘れているように思いますので、世界遺産登録を、市民が歴史と文化を改めて考えるきっかけにしていただければと思います。
そのために、今一度、文明開化からしかあまり考えてられないように思う、今の横浜の文化観光施策のあり方を再考していただければと思います。

さて、世界遺産登録は日本の大ニュースのはずなのですが、市内はおろか地元金沢区も含め十分に認知されていません。昨年9月の決算特別委員会でも積極的広報をお願いしましたが、まるで進んだように見えません。あと三ヶ月しかないのですから、市としてマスを対象に積極的に取り組んでいかないのは、極めてまずいと思います。そこで、【Q】広報を今後どう進めていくのか、お伺いいたします。

6月の登録は目前に迫っています。もう待ったなしの時期に来ていると思いますが、後手を踏んできた感が強いこれまでの状況から脱却し、さまざまな課題に対応していくため、【Q】全庁的な取り組みが必要と考えますので、今後、どのように進めていくのか市長に決意をお伺いいたします。

次に文明のマイルストーンについてです。先月、2014年3月に気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCC総会が日本で初めて、横浜で開催されることが環境省から発表されました。

IPCCは、世界各国の研究者の参加のもと、地球温暖化に関する科学的、技術的、社会経済学的な評価を行い、そこで得られた最新の知見を各国の政策決定者をはじめ、広く一般に利用してもらうことを目的に存在します。

活動は、国際的な地球温暖化問題に対して多大な影響力を持っており、2007年には、アメリカのゴア元副大統領とともにノーベル平和賞を受賞したことを思い出される方も多いと思います。

そして、現在、2014年9月の第5次評価報告書の作成、公開に向けた作業が進められており、その過程の中で、来年3月に、温暖化の影響・適応・脆弱性に関する最新の科学的知見を取りまとめるための総会が横浜で開催されることとなっています。

集中と選択で言えば、文化の世界遺産登録と合わせ、文明のマイルストーンこそが、このIPCC横浜開催だと私は信じています。これも世界遺産同様横浜の将来像にラージインパクトを与えるものですが、残念なことにこれまた市民の皆さんにあまり知られていません。まず、【Q】なぜ横浜で開催されることになったのか、確認いたします。

世界各国に大変影響力も持つこの会議が、横浜で開催されることは、大変誇りに思うとともに、喜ばしいわけですが、その意義の文脈を取り違えてしまえば、「単なるイベント」で終わってしまいます。その意味から、【Q】IPCC総会が日本で初めて、横浜で開催されることの意義について伺います。

これまでも、アフリカ開発会議やAPECなどが横浜で開催される際には開催地として、世界に向けPRする取組や、普段なら触れ合うことのできない方々や専門家との交流のため、ホスト役としての経験があるのだろうと思います。この経験を生かし、【Q】IPCC総会については、ホストシティとしてどう取り組んでいくおつもりかをお伺いいたします。

またこのような宇宙船地球号的人類最大課題の国際会議を行う際には、様々なアイデアやノウハウ、技術など持っている企業の方々などと連携した取組へ広けることが期待できますし、共創することで、世界により大きく打ち出せるわけです。だからこそ、【Q】企業と連携した取組こそが重要であると思うが、市長のお考えを伺います。

その上で、最後に【Q】IPCC総会の横浜開催に本市温暖化対策を組み込んで、どのように海外展開していくのかお伺いします。

(今回掲載した原稿は、時間の都合で実際の質問では、その場で臨機応変に対応する必要性から、割愛している部分があります)

《終わり》

Let’s Go Yokohama!

篠原豪