本会議で登壇しました(5月11日)

国会・国政

 

会派を代表し「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」について質問させていただきましたのでご報告いたします。
(対応大臣:小此木八郎内閣府特命担当大臣、岸信夫防衛大臣、武田総務大臣)

 

近年のグローバル化した世界において、伝統的な安全保障に加え、経済安全保障の重要性が指摘されています。
昨秋に結成された我々立憲民主党は、野党第一党として、次期総選挙において政権交代後の政策を担うため、外交・安全保障・主権調査会を立ち上げ、経済安全保障を含む幅広い政策について積極的な党内議論を行っています。

 

その意味で、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用についても、国会において十分議論をし、安全保障上の懸念を払拭する法律案を得ることは極めて重要だと考えています。

 

ただし、本法案は平常時の土地取引行為や私権設定に大きな影響を及ぼすため、法の目的や手段の合理性、政府による十分な説明と国民の理解が不可欠であると考えます。こうした立場から、政府案の問題点を指摘しました。

 

■(1)法案の目的や手段の合理性
第一の問題は、法案の目的や手段が立法事実に基づいて合理的なものになっているか、ということです。

 

2020年12月24日、「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」が発表した「提言」は、法制定に至る背景を次のように述べています。

 

「国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有・利用を巡っては、かねてから、安全保障上の懸念が示されてきた。
経済合理性を見出し難い、外国資本による広大な土地の取得が発生する中、地域住民を始め、国民の間に不安や懸念が広がっている。
例えば、長崎県対馬市では海上自衛隊対馬防備隊の周辺土地が、また、北海道千歳市では航空自衛隊千歳基地の周辺土地が、それぞれ外国資本に取得され、地域住民の不安や懸念を背景に、市議会において、様々な議論が行われている。」

 

そして、その後には
「安全保障は、国民の安全・安心及び自由な経済活動の基盤である。実際に問題が発生してからの対応では手遅れになる」

としており、現段階では、安全保障上の問題の発生は、確認されていないことも示唆しています。

 

そこでまず、2010年の外国人土地法に関連した政府答弁書で、「外国人等による自衛隊施設の周辺の買収が部隊等の運営に支障を及ぼしているとは認識していない」と述べられていることについて、今回、この法案を出したということは、2010年以降、安全保障上重要な施設の周辺や国境離島などで、安全保障上のリスクとなるような土地取引が行われたと認識しているかどうかを確認しました。

 

仮に、「実際に問題が発生してからの対応では手遅れになる」との問題意識だけで立案されたのであれば、「土地買収への地域住民の不安や懸念」を立法事実として提言に述べているわけですから、阻害行為の調査に入る要件として、「地元自治体からの要請」を加えるべきです。

 

また、提言で言及されている長崎県・対馬や北海道千歳市の事例では、政府はこれらを「経済合理性を見出し難い、外国資本による広大な土地の取得」に該当すると考ているのか? 経済合理性の欠如が具体的にどのように我が国の安全保障上のリスクとなり得るのか議論させていただきました。

 

その上で、経済合理性欠如の事例に相当しないなら、この提言で取り上げた意味がどこにあるのか確認しました。

 

■(2)規制対象となるべき行為
第二の問題は、土地利用の規制対象が「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」と規定されている点です。

 

我が国には、すでに幾つかの「地域を指定して土地の利用規制を行っている法律」が存在します。
例えば「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」で規制対象とされる行為は、

一 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
二 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
三 木竹の伐採
四 土石の類の採取
五 建築物その他の工作物の色彩の変更
六 屋外広告物の表示又は掲出

とされています。

 

各行為は、外形的に規定されているので、どのような行為が具体的に規制対象に該当するのか、規制する側とされる側で見解が異なる余地はありません。

 

ところが、今回の法案では、規制対象となるべき行為を「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」とだけ述べています。
その意味するところは「安全保障上のリスクとなる行為」です。
規制する側がそのように判断しても、指摘された側がそうした判断に同意しない可能性は多いにあります。
こうした事態が起こった場合、どのように対処するかが問題となります。

 

こうした問題が起こるのは、「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」とした規定に十分な予見可能性がないからです。
これでは我が国が「法治国家」であるときちんと主張できるのかという疑念が生じます。
ですので、政府がこういった法的予見性の重要性についてどのように考えているかを確認しました。

 

法的予見性を確保するには、「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」の内容を法律に具体的に書き込む意外にありません。
そこで現時点で、「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」として想定される具体的な行為としては、

1 施設の運営に支障をきたす構築物の設置
2 電波妨害、施設への侵入の準備行為
3 低潮線近傍土地等への形質変更、

が挙げられているわけですから、せめてこれだけでも法律に明示し、それ以外は政令に委ねる旨を規定するよう要求し、政府として受け入れるよう求めました。

 

さらには国会の関与なく、行政府の専断で指定が行われる事例は、「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」だけにとどまりません。
「注視区域」「特別注視区域」を指定する場合にも、距離範囲を1km以内で政府の裁量で判断することになっています。
判断基準を理由も含め法律の中で明確にすべきです。
なぜ国会の関与を排除するのか、その理由についても聞かせていただきました。

 

国会の関与を排除した結果は明らかです。本法律案では特定重要施設として、司令部機能や警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地や基地等を想定していますが、3月29日付の産経新聞社説(主張)は、次のように報じています。

 

「問題は、司令部機能を持つ自衛隊施設などの周辺や無人の国境離島を「特別注視区域」に指定して一定面積以上の売買に事前の届け出を義務付ける規定が、大幅に骨抜きにされた点である。
法案とりまとめの過程で政府・自民党が公明党に譲歩し、「特別注視区域」の対象から市街地を排除できるようにしてしまった。
自民、公明両党は、同法施行時には、東京・市谷の防衛省を含む市街地や、海上保安庁の施設、原発などの重要インフラを「特別注視区域」に指定しないことを確認した」

 

同様の言及は、4月3日の朝日新聞社説にもありますが、政府は、こうした報道で指摘された事実関係について、どのように弁明するのかも伺いました。

 

■(3)個人情報の取扱い方法
第三の問題は、本法案では政府が安全保障上重要な土地や建物の所有・利用状況を正確に把握するため、「土地等の利用状況の調査」が定められていることです。

 

まず、個人情報の取扱方法について、法律案になんの規定も設けていないことは、根本的な欠陥だと考えます。そして調査の最大の懸念は、国のさまざまな機関が持っている情報を一元管理することです。申請や届出などによる国への個人情報の提供は、各々別個の目的を持った法律に基づいて行われます。

 

つまり提供された個人情報は、法律に明示された目的のために使われるのであって、他に流用することは本人の同意がない限り許されません。
本人の同意なく、住民基本台帳や固定資産課税台帳を見られるのは、犯罪捜査などの目的がある場合に限られます。

 

ところが、今回の情報収集の目的は、安全保障上のリスク対象であるか否かの判断材料にすることにあり、場合によっては懲役刑に付される可能性もあるわけです。
これは目的外使用に当たるのではないか、政府の見解を求めました。

 

さらに問題は、調査が際限なく広がる恐れがあることです。
なぜなら、不動産登記簿や固定資産税課税台帳等、国が管理する様々な一般情報、あるいは国籍や外形的な利用実態が分かっても、公開情報をベースとしている限り、特定の土地や建物の利用実態が「我が国の安全保障に問題となるような不適切な利用行為」に該当すると断定できるとは、到底考えられないからです。

 

法案は「その他政令で定める」(第7条)情報の収集、さらには、「土地等利用状況調査のためなお必要があると認めるとき」は、当該土地の利用に関し、報告又は資料の提出を求めることができる(第8条)としていますが、これらの手続きに国会のチェックは及ばず、政府のさじ加減ひとつでいかようにもなります。

 

そこで、調査が個人の経歴や思想信条、家族・友人関係にまで及ぶことは想定しているのか、また、想定している場合には政府の濫用を防止する明確な歯止めはどこにあるのかを確認しました。

 

また、本法律案の所管は内閣府となっています。
内閣府は沖縄総合事務局以外の地方支分部局を持たないので、内閣府の職員のみで調査を行うことは到底できません。
となれば、基地周辺の調査は、事実上、自衛隊員が行うものと思われます。

 

他方、これまでの歴史的経緯から、基地周辺には、反対運動を行っている人たちや施設等があり、特に、沖縄ではそうした住民運動も盛んです。
そうした人々の個人情報を自衛隊が収集することは、地元の民意を封殺することにつながり、極めて問題が大きいと考えます。
こうした事態に政府はどのように対応していこうと考えているのか質しました。

 

農地や水源地等については、それを管理する法律はあるにせよ、安全保障上のリスクになる可能性はゼロではなく、それへの対処は従前の法律では不可能と考えます。
政府は、こうした点をどのように考慮したのを最後に確認しました。

 

安全保障、特に、経済安全保障は、国民の普段の行為を問題とし、それを規制しようとするものです。

その意味で、立法は、極めて慎重かつ丁寧に行う必要があります。
党派に関係なく、以上の問題点を真摯に受け止めていただき、よりよい法律となりますよう、しっかりと議論することを、強くお願いをさせていただき、質問を終わらせていただきました。

 

関連:
●動画(YouTube、立憲民主党_国会情報)
https://youtu.be/yrU_U1SNLKY?t=1582

●【衆院本会議】重要土地等調査法案の問題点を追及、篠原豪議員(立憲民主党)
https://cdp-japan.jp/news/20210511_1341

●規制巡り与野党攻防 重要土地法案、衆院審議入り(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210512/ddm/005/010/051000c

 

愛する地元から国を変える!
まっとうな政治。正々堂々と!

衆議院議員 しのはら豪(立憲民主党、神奈川1区)
Let’s GO!!!!!