新年のご挨拶 ~2021年を迎えるにあたって~
新しい年2021年が始まりました。
旧年中は地元の皆さまに大変お世話になり、頂きましたご厚情に、深く御礼申し上げます。
おかげさまで国会で働かせていただくようになり現職2期・7年目です。
これも地元でお支えいただいている、大変多くの様のご支援あってこそのものであり、今年も全力で闘うことをお誓い申し上げますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
安倍・菅政権と新型コロナの感染拡大
さて、本年の政治活動を始めるにあたり、まず、今日までの最近の政治状況を振り返りたいと思います。
アベノミクスの「3本の矢」(2012年)、女性活躍社会(13年)、地方創生(14年)、1億総活躍社会(15年)、働き方改革(16年)、人づくり革命(17年)などの政策課題を次々に繰り出し、その個々の政策の成果がどうなったのか誰も分からぬまま、国民の目先の関心を繋いできた安倍・菅政権による政治が、昨年に入り一気に変調を来してきました。
原因は1年前より感染が拡大した新型コロナですが、2月になると安倍首相は、全国一斉休校(~5月)を突然要請して学校と家庭を混乱させ、思いつきの布マスク全戸配布(4月)は費用対効果が最悪で、全国民を失望させました。
そのため、5月の朝日新聞の調査では内閣支持率が29%と、第2次政権下で最低を記録しました。その後もこの低支持率が回復することはなかった訳です。
ここで特に注目すべきなのが、これまで安倍内閣の「岩盤支持層」と見られていた30代の不支持率(45%)が支持率(27%)を大きく上回り、全体の支持率を押し下げる要因となったことです。
安全保障関連法や財務省による公文書改竄、「桜を見る会」など安倍政権の政策や姿勢への評価について、40代以上と異なり、30代以下では支持率が不支持率を上回る現象が続いてきました。
しかし、子育て・働き盛り世代で新型コロナの生活への影響に敏感な30代の登場で政治は大きく変わりました。
臨時国会を巡る攻防
通常国会が6月17日に閉会した後、コロナ関連の審議のために西村康稔経済財政・再生相が出席して、衆参各週1回ペースで閉会中審査を実施してきました。
しかし与党は首相が出席しての予算委員会に応じようとすらしませんでした。
そうした中、感染が再拡大する新型コロナウイルスや豪雨災害への対応など、国会で審議する課題が山積しているとして、立憲民主党など野党4党は、7月29日、憲法53条の規定に基づき臨時国会の召集を求める方針を決めましたが、自民党は早期の召集に応じようとしませんでした。
他方、コロナ禍による経済へのダメージが深刻さを増す中で、首相がこの間、記者会見や国会答弁に臨んでいないことを懸念して、自民党内からも新型コロナウイルス対策のための早期召集を求める声が上がり始めました。
「安倍一強政治」と最長政権
安倍政権は、政府の人事権を官邸に集中し、国政選挙の連勝を背景に与党への影響力を強め、「安倍一強」と呼ばれる政治状況を作り出してきました。
そのため、官僚は過剰な忖度を繰り返し、国会軽視につながりました。
首相や閣僚は、様々な疑惑が出ても説明を尽くそうとはせず、責任を取ろうともしませんでした。
その象徴が、「森友・加計問題」や「桜を見る会」、「公文書改ざん問題」などです。
そうして迎えたのが8月24日で、安倍首相は2012年末からの連続在職日数で佐藤栄作氏を抜いて何とか歴代1位になったわけです。
安倍退陣と菅内閣の誕生
その8月に表面化したのが安倍首相の健康問題です。
そして、突如、安倍首相は28日夕刻に首相官邸で記者会見し、持病が再発したことを理由に辞任する意向を表明しました。
自民党は直ちに後継を決める総裁選の手続きに入り、9月中に臨時国会を開いて新首相が選出される日程が確定しました。
総裁選では、自民党総裁選に立候補する意向を固めた菅義偉官房長官に対し、二階派(47人)が早々に支持を表明した後、直ぐに、細田派(98人)と麻生派(54人)が支持する方針を決め、主要派閥の多くが菅氏支持に傾き、国会議員票での優位が確立されました。
こうして、9月14日の自民党総裁選で菅義偉官房長官が、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長を破り、第26代総裁に選ばれました。次いで、9月16日に安倍内閣が総辞職し、同日召集される臨時国会で菅氏が第99代首相に選出されました。
菅首相の政権運営
菅内閣の顔ぶれは、安倍内閣の閣僚の再任や横滑りが目立つ布陣となりました。
「脱派閥人事」を掲げた菅内閣でしたが、総裁選で菅氏を支持した5派閥で主要ポストを分け合う派閥均衡型に納まりました。
他方、菅義偉内閣の発足を受け、朝日新聞社が実施した世論調査では、内閣支持率が65%、不支持率ば13%で、第2次安倍政権発足直後の支持率59%を超えました。
特に、男性よりも女性の支持率が上回ったことが安倍政権との大きな違いですが、その要因として挙げられるのが、内閣の重要政策として挙げた不妊治療への保険適用を柱とする少子化対策です。
2017年に行われた生殖補助医療により生まれた子供は、全出生児の6%にあたる約5.6万人。不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は、約5.5組に1組の割合といわれ、親世代も含め身近に感じる広い裾野があると思われます。
また、菅首相が掲げる「携帯電話料金引き下げ」は、菅首相がこだわる「庶民目線」に立ったとする政策で、これも被益する層が広く、支持率引き上げに効果があったものと思われます。
その一方、安倍政権と同様、憲法に基づく野党の臨時国会召集要求を放置し、臨時国会の召集は10月26日となり、新首相が国民に向けて初めて国政の方針を示す所信表明演説が、就任から40日後という誠意のないものになりました。
また森友問題の再調査は拒否し、桜を見る会は中止する一方、安倍前首相による公的行事の私物化疑惑には応えようとしません。
これで、菅政権は国会軽視が際だった前政権と何ら変わりが無いことが明らかになったわけです。
さらに深刻なのが、日本学術会議が推薦した会員候補者6人の任命拒否問題です。
独立性・中立性が重んじられる組織が、法の趣旨を曲げた恣意的な人事によって脅かされる暴挙がなされたにもかかわらず、菅首相は具体的な理由は一切語らず、「前例を踏襲してよいのか」「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断した」と、説明にもならぬぐだぐだの答弁を繰り返すばかりで、さらには、問題をすり替えるために、あろうことか、学術会議に組織改革を無理矢理迫ろうとしています。
内閣支持率の下落
この頃、日本経済新聞社とテレビ東京が実施した世論調査では、菅内閣の支持率は9月の前回調査から1%減の63%でした。内閣を「支持しない」と答えた人は26%で、9%増えています。
学術会議の任命拒否を巡る対応が影響したとみられます。
さらに、朝日新聞社が12月19、20日に実施した全国世論調査で内閣支持率は39%(前回11月は56%)に急落しました。不支持率は35%(同20%)に増えました。
その理由は、菅義偉首相が12月14日、観光支援策「GOTOトラベル」をめぐり、28日から来年1月11日にかけて全国一斉に停止すると表明したことです。
1月12日以降については「その時点での感染状況などを踏まえ、改めて判断する」としました。
政府はこれまで専門家から再三、GOTO事業の見直しを求められてきました。
しかし政府はトラベル事業について「感染拡大につながっているエビデンスはない」との発言を繰り返してきています。
ところが、12月14日に公表されたNHKの世論調査で、内閣支持率が前月から14%下落して42%となり、不支持率も17%上がって36%、トラベル事業を「続けるべき」は12%、「いったん停止すべき」が79%だとわかると、突然、全国一律の停止に踏み切ったのです。
事業者にしてみれば、いきなり梯子を外されたようなショックを受け、年末年始に向けた準備が全て無駄になりました。
他方、医療の専門家からは「医療は切迫した状態になっており、遅きに失した。もう1ヶ月ほど前に立ち止まる必要があった」と厳しい指摘がなされています。
さらに、12月16日には、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、自民党の二階俊博幹事長らとの会食したことを問われると、政府は必ずしも5人以上はダメではないという事後説明を新たにつけ加えたのです。
政治とカネの問題
そうした中、安倍前首相が自身の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡って、東京地検特捜部の任意の事情聴取を受けたことが12月22日に明らかになりました。
さらに、鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表からの現金受領疑惑の責任を事実上とった形で、自民党の吉川貴盛元農相が議員を辞職しました。
これ以外にも、2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公選法違反(買収、事前運動)の罪で起訴された前法相の河井克行被告と、妻の案里被告の公判が東京地裁で行われており、年明けにも判決が下されることになっています。
新型コロナ対策の最前線で
従って、収束が見えない「新型コロナの感染拡大への対応」と「政治とカネ」の問題が、新年早々の政治的課題になるものと考えられます。
政府・自民党政権のコロナ対策は、後手ばかりです。
市中感染を放置し、無症状感染者があちこちで感染を拡大させ、感染経路不明者が半数以上を占めているのが現状です。
従って、経済社会活動を再開させるためには、無症状や症状の軽い人たちにも幅広い検査をし、陽性者を発見することは極めて重要ですが、日本はPCR検査数ひとつを取っても、いまだ諸外国より大幅に少なく、感染者数も十分に把握できていません。
検査数を飛躍的に増やせれば、感染の心配の中で働く人の不安を小さくできるし、感染拡大を防ぐことで、経済の再生にも役立ちます。
この点、私は既に昨年3月の時点で「PCR検査拡充法案」を、誰よりも早く国会に提出し、実施体制作りのための立法も行ってきています。
年始を迎えての国政の最大の問題はコロナ禍で困窮する人々の生活をどのように支援するかです。
例えば休業支援金は秋の段階でも予算の4.6%しか支給されていません。制度は利用されて初めて意味があります。
地元の声を国政に反映
私はこうした問題、地元のお声を丁寧に拾いながら、皆さんの期待に応えてまいります。
今、我々の街にはもうひとつ、横浜市に林文子市長が政権と一緒になって、コロナ対策よりもカジノ誘致を急いでいるように見えます。
必要なのはカジノではなく市民の命を守る施策、「バクチより命」「IRよりPCR」です。
こんな当たり前のことですが、今の政治に怒りや危機感を持つ多くの地元の皆様のお声とともに、国政に直接届けてまいります。
来る総選挙においてもしっかりと結果を残し、若い力で政治の流れを転換してまいりたいと思いますので、本年一年も皆さまのお力添えを、何卒よろしくお願い申し上げます。
愛する地元から国を変える!
まっとうな政治。正々堂々と!
衆議院議員 しのはら豪(立憲民主党、神奈川1区)
Let’s GO!!!!!