平成26年度予算特別委員会 局別審査(水道局関係) 質問内容

横浜市政

3月4日に開かれた平成26年度予算特別委員会局別審査(水道局関係)において、会派を代表して篠原豪が質問を行いました。

私が今回質した項目は以下のとおりです。

1 水道局の国際貢献について
2 民間企業の海外展開支援について
3 横浜ウォーター株式会社の事業について
4 グローバル人材の育成について

以下に質問内容と問題意識を、全文掲載させていただきますので、長文ではありますが、お時間のある方はお目通し頂ければ幸いです。

尚、当日の動画はこちらからご覧いただけます。

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「平成26年度予算特別委員会 局別審査(水道局関係) 篠原豪 質問内容」

1.水道局の国際貢献 【国際事業課】

今、インフラは上下水道も資源循環も国際協力から、国際ビジネスへ発展させようという段階に入っていて、自治体間の競争も激しくなっていくのだろうという思いがあります。そこで、今日は国際関係をメインにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

さて、横浜市の国際協力ですが、水道は長年にわたってやってきていることですが、市民の皆さんにあまり知られていないのでは、ということです。伝えるために、私も勉強をさせていただこうと、まず読ませていただいたのこの「ケニアの本」でした。

私もぜひ買いたいと思ったところ、もう絶版です、とのことで、それならお貸しいただけませんか? と行ってお借りして読ませていただきましたのが、この本です。

時代とともに、初期のころには役務提供、中頃にはアドバイザー、そして近年ではコンサルタンと仕事のニーズが違うということと、仕事以外にも、食べ物のこと、住まいのこと、家族のことといった日常生活も描かれていて、ああ、水道をアフリカで構築するのは大変なんだなぁと読んで率直に経緯を表したいと感じました。

で、この本、実は横浜の水道マンのバイブルとも聞いてまして、ここにはさまざまな体験談が載っている。

そこでまず、

①ケニア本が出来た経緯と、現在この本は水道局内でどのように読まれているのかについて事業推進部長に伺います。


(当局答弁→この本は、昭和52年からのJICA事業によるケニアへの水道技術協力20周年を記念して、平成10年6月に、社団法人国際厚生事業団から出版されたものです。

横浜市水道局からもケニアへは延べ17人の職員が派遣されており、水道計画、設計業務等の技術移転を行ってきました。

技術移転の初期の事業の活動の様子と苦労を具体的に伝える教科書として、国際協力事業に関わる職員に読まれています)


で、この本に書かれているのはケニアですが、聞くところ、実は横浜市はアフガニスタンから始まっていろいろと海外でやられてきたと。であるならば、ぜひその内容を知りたいものです。そこで、

②これまでの横浜市職員派遣の実績と、職員派遣による技術協力の具体的な内容について、短期と長期の違いも含め事業推進部長に伺います。


(当局答弁→横浜市水道局では、昭和48年にアフガニスタンに職員を派遣して以来、現在までに、30ケ国に延べ259人の職員を派遣しました。そのうち17人が1年以上の長期派遣者で、タイへ7人、ケニアへ6人、ベトナムへ3人、シリアへ1人派遣しています。短期派遣者は242人で、主な派遣先はベトナムに100人、タイに25人、フィリピンに18人等となっています。

派遣者は、長期・短期とも、開発途上国の水道事業体において、水質管理、漏水対策、水道料金管理、顧客サービス等の専門分野での技術指導等を行います。

長期派遣者は、この他に、豊富な経験を活かして、プロジェクトの統括、全体調整業務等を行っています)


ありがとうございます。これだけ多くのニーズがあって、これだけの人を派遣しているのですが、そもそもに戻って恐縮ですが、

③なぜ横浜市の水道局は海外に職員さんを派遣してきたのでしょうか?事業推進部長に伺います。


(当局答弁→横浜の水道は、1887年にイギリス人のパーマー技師の指導を受けて、日本最初の近代水道として創設された歴史を有しており、この恩に報いる意味もあります。

これまで培った高い技術を生かして、人間の生命を支える水の確保が難しい、途上国の水道事業の改善に貢献するとともに、水道局職員の人材育成につなげるため、40年以上に渡り職員を派遣し、国際貢献に取り組んできたものです)


私もそう思います、であるならば、技術協力の大切さがわかる、なるほど、というわけです。

で、まだこの横浜市で技術協力をやっているものは何かと聞いたところ、水道局は職員の受入を通じて技術者育成に取り組み続けていると。なるほど、受け入れもあるのか、ということです。


そこで興味が湧いたので、昨年秋に受け入れをした時のテキストを実際に見せていただきました。なるほどと、これです。そこで、今度は受け入れについても伺います。

④これまでの横浜市への海外研修制の受け入れの実績と、受け入れによる技術協力の具体的な内容について、わかりやすくご説明いたければと思います。事業推進部長にお伺いします。

(当局答弁→昭和62年に海外研修員受け入れを開始して以来、現在までに、125か国から2,600人を超える研修員を受け入れています。

主な受入国と人数は、ベトナムから約200人、タイから約170人、フィリピンから約130人などです。

研修員に対して技術指導や実習、講義、水道施設の視察などを行いますが、分野は受入の内容は、水質管理、漏水対策、水道料金管理、顧客サービス等、多岐にわたっています)


さて、横浜市では、昨年10月にバンコク首都圏と覚書を締結するなど、経済成長を遂げつつあるタイ王国との技術協力を進めている。

経済発展を続けており、注目すべき国の1つだと思うが、水道局ではタイにおける技術協力を行ってきたとのこと。

そこで、

⑤  タイにおける職員派遣及び海外研修員受入の実績、タイにおける水道技術者育成の取組内容について事業推進部長に伺います。


(当局答弁→タイとの交流ですが、昭和57年にJICAと連携してタイ国首都圏水道公社に職員を派遣して以降、現在までに合計32人を派遣し、また、水道局独自の研修受入事業として、昭和62年以降合計35人の研修員を受け入れています。

主な技術者育成の取組内容としては、JICAと連携した「水道技術訓練センター」プロジェクトが挙げられます。これは、水道計画、経営管理、水資源管理等についての教育訓練活動であり、11年間のプロジェクト期間中に、当センターにおいて、タイの水道公社職員約2,500人が研修を受けました)


技術者育成の取組が、タイの水道事業の発展につながるとともに、水道局がこの10年間取り組んできたベトナムの人材育成にも生かされていると感じています。これまで、国際貢献について伺ってきましたが、

⑥  後に、国際貢献に関する局長の評価を伺います。

(当局答弁→水道局は、これまで多くの研修員の受け入れや職員の派遣を行うなど、開発途上国への技術協力を積極的に進めてきました。

これにより、各国が直面する水課題の解決に貢献するとともに、技術者の育成による水道事業の発展に寄与してまいりました。

さらに、支援を行った国との信頼関係の醸成や水道事業体としての国際的なネットワークの構築にもつながるものと評価しております)


2 民間企業の海外展開支援 【国際事業課】

次に、民間企業の海外展開支援について伺います。

私は昨年ベトナムを訪れ、中部地域の水道人材輩出の拠点である中部水道研修センターを視察しました。

同行した我が党の大岩委員も、昨年の予算特別委員会で、水道局のベトナム中部地域における技術プロジェクトについて質問し、技術協力を民間企業の参加につなげていくよう要望したところです。

昨年9月にはフエ省水道公社との技術交流10周年記念事業に、横浜水ビジネス協議会会員企業11社の参加を得て、このことが、来年度の国際関連事業の主要な取組であるJICA草の根技術協力事業につながったと聞いています。

で、この件も含めて、ベトナム関連では北部では環境創造局の案件がハノイ市中心で、また、水道局の案件として中南部では今言ったフエ中心について、別々のプロジェクトがそれぞれ25年から始めると聞いています。

①JICA草の根技術協力事業について、活動内容と、現在直面している課題、そしてそれをどう乗り越え、どのような成果を目標に進めているのかについて事業推進部長に伺います。


(当局答弁→活動内容ですが、横浜水ビジネス協議会の優れた技術をベトナムで実演し、現地研修を実施します。

また、研修員を受け入れ、協力企業の現場視察や指導を通じ、技術の有効性を共有します。

課題は、ベトナムの技術レベルに合わせた受け入れ易い提案を行うことであり、これに対して、現地の状況を踏まえて十分な意思疎通を図り最適な提案をしてまいります。

成果は、この事業により、ベトナム中・南部地域の水道事業の改善につながるとともに、企業の海外展開が図られることです)


②フエについては先月7日に記者発表があり、具体的に水道局と民間4者が実施契約を締結したということで、それぞれが市内でどのような会社でどのような分野の技術をどのように提案し、横浜市はこのことにどのようにタッチしていくのか事業推進部長に伺います。

(当局答弁→企業名と技術内容を申し上げますと、

・アズビル(株)は水道施設の制御・管理技術、

・国産ラセン管(株)は自在に曲げられる配管の技術、

・水道テクニカルサービス(株)は漏水探知技術、

・日本原料(株)は浄水場のろ過池を更生する技術

を提案します。

水道局は水道施設の運転管理ノウハウと、10年にわたるベトナムでの技術協力の経験を生かして、現地のニーズに合わせて、企業の技術を効果的に実演するサポートを行います)


横浜水道としても初めてのチャレンジになるとのことです。是非、今後課題を乗り越えてもらいたいと思います。横浜と長い関係をもつベトナム国との関わりの中で新たな取り組みとしての草の根事業をモデルとして、課題や対応について伺ってきましたが、最後に、

③水道事業における民間企業の海外展開支援についての局長の見解について伺います。


(当局答弁→今回の草の根技術協力事業は、昨年、技術協力10周年を迎えたフエ省水道公社をベトナム側の中心機関として、水道局の国際貢献の実績を生かして、水道事業を支える優れた技術を持つ民間企業を支援する、我々の本格的な企業支援の先駆けとなる取組です。

今後も引き続き、途上国のニーズと、横浜水ビジネス協議会会員企業の技術のマッチングを進めて、企業の水ビジネスの海外展開を後押ししてまいります)


27年度には前回はドイツで25カ国、207名が参加したIWA LESAMが横浜で開催されます。これは、国際水協会による上下水道アセットマネジメント専門家会議も予定されますので、今後も水道局が技術協力で築いた関係を生かして、民間企業のビジネス展開に具体的につなげ、横浜市の水のパワーをどんどんと世界の中で上げていってもらいたいと思います。

で、横浜ウォーターです。


3 横浜ウォーター㈱の事業について 【国際事業課】

一方、ビジネス展開に向けては、平成22年に横浜ウォーター㈱を設立して取り組んでいると聞いております。この会社のパンフレットを見ると、日本における近代水道の創設から125年に及ぶ長い歴史で培った、高い技術力と効率的な経営ノウハウを有効に活用し、国内外の上下水道事業体が抱える様々な課題に最適なソリューションをご提供します、となっているわけです。では、実際には、どのような仕事をしている会社なのか、と思うわけです。

そこで、まず、

①この会社は具体的には、国内事業はどのような事業を、そして国際事業はどのような事業をどのような体制で行っていて、どのぐらいの売り上げをそれぞれの事業で上げている会社でしょうか? 事業推進部長に伺います。

(当局答弁→国内事業については、被災地上下水道事業体や民間企業への技術的支援業務のほか、水道技術に関する研修事業、水道局からの業務受託などを25人の体制で実施しています。

国際事業については、アジア・中東地域を中心に、海外研修員の受入事業やコンサルティング業務等を7人の体制で実施しています。

売上高は、24年度で申しますと、国内事業で約2億1,000万円、国際事業で約7,000万円となっております)

②また、ターゲットとするクライアントは、国内事業と国際事業それぞれで、どのようなのところか事業推進部長に伺います。


(当局答弁→国内事業においては、技術継承や事業運営に課題を抱える中小の水道事業体や、水ビジネスへの参画を目指す民間企業などを対象としております。

国際事業においては、今後、経済発展に伴い水需要が伸びると想定される東南アジアなどの途上国を中心に、特に横浜ウォーター(株)の持つ技術の強みを生かせる分野においてニーズが高い地域を対象としております)

昨年のベトナム訪問でダナン市を訪問した折には、今後の具体的な協力推進が向こうも日本の企業も期待していることは私も強く感じました。その後、横浜ウォーターでもダナン市において事業を実施しているとお聞きしておりますが、そこで、

③横浜ウォーター㈱のダナン市における取組と水道整備に関する準備調査の内容、今後の展開の見通しについて、事業推進部長に伺います。


(当局答弁→この取組は、横浜水ビジネス協議会会員企業4社と共同して、公民連携による浄水場新設などについての準備調査を行うものです。

具体的な調査内容としては、現地の水質状況などの基礎情報収集・分析を基に、浄水場の施設計画の策定や事業スキームの検討などを行っております。

引き続き会員企業と共同して調査を行い、JICAなど関係機関とも連携して、その後の事業提案につなげる見通しです)


で、国内外水事業の課題解決への貢献や民間企業のビジネス展開支援など、社会的な意義を持った事業展開をしようということは分かりました。

ですが、この会社は株式会社です。そうなると、会社が成功するかどうかということを考える時には、商品がクライアントからどのような評価を受けているのかをマーケティングし、どのような課題があってそれをどう改善していくのかというのが3年目が終わり、4年目ともなると、強く求められる時期に来ているのだと思います。


④そこで、これまで3年が過ぎ、まもなく4年となる来期に臨んでは国内事業、国際事業それぞれについて、課題をどう認識しているのか局長にうかがいます。


(当局答弁→横浜ウォーター(株)の、この間の実績や各方面からの期待を踏まえた取組をさらに推進し、支援先事業体や国等の関係機関の信頼をさらに強めることが重要です。

国内事業では、研修や技術的支援業務で培ってきた事業体や民間企業との関係を生かし、新規事業の獲得につなげること、

国際事業では、ダナン市の事例のような調査案件などの取組を継続・発展させ、具体的な事業化につなげることが重要だと認識しております)


⑤民間の水会社がいろいろと出てきているのがこの3年だと思います。そのなかで、横浜ウォーター株式会社の今後の事業展開についての局長の見解 を伺います。


(当局答弁→市内企業等との連携をより一層強め、社会的意義を発揮し、水ビジネス分野における信頼される企業として成長・発展することを期待しております。

国内においては、県内及び関東近隣事業体などのニーズを積極的に把握し、具体的な課題解決策を提案していくこと、

国際事業においては、国やJICAなどの関係機関との連携を強化し、海外大型プロジェクトを本格的に始動させていくことが重要と考えております。

水道局としても、一体となって事業発展に取り組んでまいります)


これからも、横浜ウォーターの成長・発展とともに、市内企業等の発展につながるよう、さらに積極的に事業展開を進めてほしいと思います。


4.グローバル人材の育成【国際事業課】

最後に、今日は主に国際関係で聞いてまいりましたが、これを支えるのは人です。これまで、国際貢献で始まった取り組みも、現在ではビジネス支援につなげるといった取り組みに変化してきています。こういった局の取り組みに対応するため、水道局ではグローバル人材の育成に取り組んでいると聞いていますが、


①人材育成制度の現状の課題、そして今後のさらなる人材開発の必要性への認識、またそれを補完する良いシステムがあるのであれば、最後に局長に伺います。


(当局答弁→水道局では、国際貢献を担う人材育成が課題であり、水道の知識・経験に加えて、語学などのコミュニケーション力が必要と認識しております。

これに対応するため、国際協力に関心のある職員約50人が参加する国際協力専門委員会を定期的に開催し、海外研修員の受入対応や英語の学習、水道事業に関する研修などを実施しております。

また、中堅レベルの実務経験と英語能力を持つ職員向けの研修も実施するなど、段階に応じた国際人材の育成に取り組んでおります)


※この原稿は実際の審議で若干の変更点がありますのでご了承ください。

《終わり》

Let’s Go Yokohama!

篠原豪