【登壇報告】予算特別委員会「政策局」

横浜市政

本日3月6日、平成24年度予算特別委員会において「政策局」の平成24年度の予算な内容に関して、みんなの党を代表して質問を行いました。

今議会2回目の登壇である、本日の私が今回掲げたテーマは『大局観をもった複眼的かつ横断的な政策立案と、常に事業を見直しできる仕組みづくり』です。

国会でも言われる縦割り行政による弊害は、横浜市でも起きている問題であり、これが政策立案、実行への足枷になっている現状があります。そこで政策局がビジョンや政策をしっかり指示した上で、他の局を取りまとめ、一層連携を進めるべきであると考えています。

具体的な質問内容と問題意識を、全文掲載させていただきますので、長文ではありますがお時間のある方はお目通し頂ければ幸いです。

篠原豪

Let’s go YOKOHAMA!

【登壇直前、こぶしに気合いをいれて市政改革!】

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1】政策局誕生後1年が経過したうえでの所感

政策局ですが、平成234月の機構改革で、都市経営局から現在の体制になりましたが、誕生から約1年、今、一番の課題は何で、その点をどう解決していくつもりか?



2】政策局の総合調整機能

今の横浜の財政状況で考えると、効率的かつ費用対効果を高める市政運営が求められます。そのためには政策局が他区局への調整機能を充分に発揮し、真の「選択と集中」推進が必要なわけです。

ところで、今、震災対応を免罪符に、区庁舎などのハコものの整備が一気に進みつつあります。これは整備費や管理運営費など、長期的に財政に大きな影響を及ぼすものですが、そうであるからこそ、50年後、70年後の横浜市の将来までをきちんと考えた設計になっているのでしょうか。

横浜市も2030年をピークに人口減少社会になるなか、過剰なストックを抱えたまま財政運営を行うのは困難を極めます。昨今の大都市制度のあり方議論をみても、今後の社会ニーズの変化のスピードは非常に早いと予測され、決定済みの内容がニーズにそぐわなくなる可能性が多大です。

だからこそ、一度決定し、舵を切った事業でも、抜本的に見直し、状況に応じ、やめることも必要で、
一度決定した施設整備などの事業も、社会情勢の変化に応じて抜本的に見直しを行う仕組みづくりが必要だと思います。


さて、各局予算案を見た感想ですが、縦割り的と懸念されるものが、補助金も含め多々見られます。重複行政の無駄が存在するのであれば、政策立案時より総合調整し、縦割りの無駄をなくしていくことが必要だと思います。
そこで、横断的な政策立案という視点で現状の課題と、改善に重要な点は何か


各区局の企画部門を統括する副市長のお立場で、大局的な視点についてお答えいただきましたが、では実際の現場では、
平成
24年度予算案において、各局の縦割り感をなくすための政策立案に向け、どう取り組まれたのかを、伺います。


予算編成時に、行政内部できちんと討議を行い、今後の横浜の方向性を決めていくことはとても重要です。これからも政策局の役割に期待します。

もうひとつ極めて重要な視点は、議決された予算をどのように執行し、効果を生み出したのか、きちんと検証する仕組みづくりです。言い換えれば、決算ベースで考え、効果が低い施策は手法を見直す。改めるべきは改めることです。そこで、市の施策・取組が費用に見合う効果を生み出したか、施策や実施手法についても、どう点検しているのか、お教えください。


市長は、施政方針演説で「活気に満ちあふれ、世界に誇れる都市をつくろう」としました。この実現には、今の時代をきちんと捉えた手法を用いて、政策を立案する仕組み作りが必要です。政策局全体には、今後、大局観をもった複眼的かつ横断的な政策立案と、常に事業を見直しできる仕組みづくりを、改めて要望し、次の質問に入ります。


3】公民連携の取組

さて、公民連携について伺います。長く低迷する社会経済情勢に伴う厳しい財政状況から見ても、もはや行政の力だけで社会的課題を解決していくのは困難です。

そのために旧態依然の右肩上がりの発想から脱却し、様々な機会で民間と連携し、互いの発想やアイデアを積極的に取り入れ、行政の限界を乗り越え、事業を力強く推進していくべきだと考えます。

政策局においては、公民連携を所管する共創推進室という部署において、民間の提案や、アイデアを広く受け付ける窓口として「共創フロント」を開設し、様々な公民連携事業を実現していると聞いています。

そこで、共創フロントの実績、及び主な実現事例について、まずは教えてください。


共創フロントの実現事例はホームページで公表されているので、ぜひ皆様、ご覧くださればと思いますが、市内中小企業から市外大企業まで、地域NPOから商店街まで、多くの民間と連携し、大小様々な公民連携事業を実現していることは大変評価できるところであります。すばらしい!

あえて言えば、提案に対する実現割合は3割程度で、見方によっては、あまり実現率が高いとは言えません。ぜひこの割合を拡大して欲しいと思いますが、実現できない提案が多くある現実を踏まえると、課題もあると思います。

そこで、民間提案の実現への課題をどう考えているのかを、お伺いいたします。


従来の行政の在り方から踏み込んだこの取組みは、市役所内部の縦割りや、民間との連携に対する職員さんの理解度の低さなどが壁となって、各区局の協力を得るのが非常に大変だ、ということについては、私も同様に何度も直面している経験から、ご苦労、察するものがあります。

未だ、行政と民間との関係を、発注する側と受注する側、許可する側と許可される側という、官尊民卑的な役所の古い感覚が根強く残っていると、強く感じるのも事実です。そもそも公民連携事業は今の時代の行政にとって、何よりも求められる取り組みですが、共創推進室だけが一生懸命推進しているように見えます。言い換えれば、全区局が公民連携意識を持って推進しようという強い姿勢が感じられません。

そこで、各区局の職員一人一人の意識を変える取組みが必要と考えます。これまでの課題を踏まえ、今後どのような展開を図っていくおつもりか、お伺いします。


今後も積極的に行って、公民連携に対する職員の意識を変えてもらい、全庁的な取組みとして、より多くの民間提案を実現して欲しいと思います。

ところで、24年度予算案を見ると、耐震補強が必要な区庁舎の再整備などの耐震対策事業のため、公共施設の整備費が1,856億円と昨年度より11.3%の大幅増となっています。

しかし、極めて厳しい財政状況の中ですから、公共施設の整備についても、民間と連携しながら市の財政負担をできる限り抑えた形で実施すべきと考えます。

財政負担軽減への公民連携手法に、民間事業者が資金を調達し、公共施設の整備を行うPFIがありますが、
公共施設整備にあたり市はPFIを、今後も活用していくおつもりかどうか伺います


我々の会派で、先日視察した豊島区役所ですが、新区庁舎建設を予定しています。積み立てていた基金は財政上の問題から市民にツケを回さないといった観点で先に使い果たし、建設は危機的状況にありました。

そこで考えたのが、区の持つ土地を民間に貸し付け、財源を生み出すことです。具体的には市街地再開発事業とあわせてマンションなどの民間施設と新庁舎を合築することで、区の一般財源に依存することなく、新庁舎の整備を行うものです。このように施設整備にあたっては、財政負担の軽減を目指す公民連携の手法は、いろいろとあるのです。

横浜市は今後も様々な公共施設整備が予定されています。
そこで、公共施設の整備にあたり、PFIに限らず、民間資金やノウハウを活用した様々な手法を導入すべきと考えますが、見解を伺います。



4】企業の海外展開支援

次に、国際ビジネス展開支援について伺います。海外に目を向ければ、急激に成長する新興国等の市場に対し、諸外国政府による支援・誘致・売込合戦が激しくなっています。

競争に勝ち抜くには、これまでの考え方を改め、政府の役割を転換し、民間企業と叡智を集結し、新たな連携の構築が必要だと思います。

横浜市もこういった観点で、海外へのビジネス展開を目指す「Y−PORT事業」を昨年1月に立ち上げ、スマートシティウィークを開催し新興国の政府高官視察受入れ、横浜水ビジネス協議会の設立、JICAとの連携協定など、様々な取り組みを行ってきたと聞いています。

一方、新たな取組ということで、様々な課題に直面したと思います。
そこでまず、事業実施のなかで、特に困難だった課題を教えていただければと思います。


庁外連携について伺います。市内には、IDECや財団法人海外技術者研修協会(AOTS)、JICA横浜、ジェトロ横浜など、海外展開や技術支援に関するノウハウ・仕組み・ネットワークをすでに有する組織がありますが、
これまで、どのような連携をはかってきたのか伺います。


互いの強みを生かすことは、課題解決の一助になりますので、これからはもっと受動的ではなく能動的に連携強化をしてもらいたいと思います。また、Y−PORT事業を立ち上げてから、まだ1年余りですが、
ここまで庁内関係局とは、どのような連携をしてきたの教えください。


私は、市の政策は、局の縦割りではなく、大局的観点から局横断で事業を実施すべきものと考えます。その中心となるのが政策局で、各局と調整し、力強く横浜を牽引する役割を担っていると考えます。

例えば、中期4か年計画の「戦略8」では、海外ビジネス展開戦略を掲げており、市内経済の活性化を目指すと言いながらも、実は、市内企業の情報も庁内で共有・活用されていない状況です。
このような状況を打破し、この海外ビジネス展開戦略を真剣に実行して行くためには、政策局が基軸となるビジョンや政策をしっかり指示した上で、他の局を取りまとめ、一層連携して行くべきであると思います。副市長のご見解をお伺いいたします。


日本の置かれた厳しい現状を打破するためには、横浜市を中心とした海外ビジネス展開も必須だと考えています。 政策局が基軸となるビジョンや政策をしっかり市内外に指し示した上での、一層の取組みをお願いします。


5】自治体外交と多文化共生

次に、自治体外交の推進と多文化共生について伺います。昨年11月、スコットランドのグラスゴーで開催された「ウォーターフロントエキスポ2011」に参加しました。このエキスポは、「ウォーターフロントの再生と投資」をテーマに開催された国際会議で、メインスピーカーの一人として招聘されまして、産業構造の変化に対応した本市臨海部の変遷についての講演をしてまいりました。

その際、横浜が参加者の間で、世界にあまり知られていないことを感じましたので、期間中、参加者に横浜を繰り返しアピールし、明らかに参加者の横浜への理解が深まっていくことを実感しました。

こういった経験から、国際競争が激化する中、本市が将来にわたって活力ある都市として持続的に発展していくためには、自治体外交の推進が国際政策のなかでもきわめて重要だと思います。その意味で、24年度予算に自治体外交推進がうたわれていることは高く評価しますが、一方で、様々な取組が明確な戦略・ビジョンの下、目的を共有した多様な担い手によって進められることが重要です。
そこで、横浜市の自治体外交ビジョンと、自治体外交を推進する目的をまず、伺います。


次に、自治体外交の担い手についてですが、市長自ら海外でのプロモーション活動に積極的に取り組まれていますが、
市長トップセールスの必要性について伺います。


私も市長には世界に向け横浜をPRし続けていただきたいと思います。ですが、市長一人にできることにはおのずと限界があり、自治体外交推進には職員さんの力が重要です。
私は、職員さんもどんどん海外に出て、様々な経験を積みながら多くのことを学び横浜をアピールするとともに、学んだことを市政にフィードバックすることが非常に大切だと思います。そこで、人材の育成をどうするおつもりか伺います。


急速に発展する世界に遅れをとらないためには、ないものねだりをするのではなく、すでにあるものをうまく利活用することが大切です。私は市政運営には、あらゆる観点から企業や国際協力に取り組む市民の皆さん、そして市民の代表である我々市会議員も積極的に関わり、一丸となって活動していくことが大切だと考えています。

自治体外交においても、市民、経済界、そして市会議員など、すでに我々が持っている資産をうまく活用し、これらを有機的につなげながらひとつの共同体として推進していくべきだと考えますので、その仕組みづくりをお願いします。

ところで、将来の担い手である子どもたちも、また、自治体外交の推進には重要です。市内には、外国籍・外国につながる子どもたちが多くいます。私が視察に訪れた富士見中学校は4割が外国につながる子ども達ですが、残念ながら彼らの中には、日本語も母国語も学習言語として確立されない子どもたちが増えていると聞きます。

こうした子どもたちは、厚生経済学の観点から見れば、「潜在能力の平等」状態にないように思います。どこの国の子どもでも、横浜で親が納税をしているのであれば、その子供は潜在能力を生かし、社会参加できる状態にもっていけるようにすることが、行政の役割ではないかと思います。
そこで、市全体で連携をはかって行っている取組について伺います。


未来の横浜の外交を担うかもしれない子供たちの存在を大切に考え、人としての生き方を選択できる能力を身につけられるよう、外国籍・外国につながる子どもたちへの支援施策についても、局横断的な視点で取り組んでもらいたいと思います。


6】横浜版特別自治市構想

次に、横浜の大都市制度改革について伺います。林市長が臨時委員を務める、国の第30次地方制度調査会では、大都市制度のあり方について本格的な議論が始まっています。

昨年8月に設置された「横浜市大都市自治研究会」の、第1次提言が今月中に示される予定で、この提言を踏まえ、新たな大都市制度の基本的姿勢と制度的枠組みを具体化する「横浜版特別自治市大綱」の素案が5月に公表する予定だと聞いております。
そこでまず、横浜版特別自治市大綱素案の内容と、あえて5月と決めたねらいは何か伺います。


特別自治市構想は、脱中央集権、言い換えれば、まさにみんなの党が言う権限、財源、人間の委譲を横浜市へ行い、地域主権の仕組みづくりを、明治時代以降の大転換として遂げようとするものです。

国全体が大都市制度について議論をしている今こそ、実現の最大チャンスで、戦略的に制度設計のプロセスを組んで、この流れにうまく乗ることが大切です。
そこで、全国に先駆けて進みつつある、大阪都構想と横浜版特別自治市大綱は制度設計のプロセスで、違いがあるのかどうか、伺います。


うまいプロセス設計により国をとの交渉を上手に進めていただければと思います。一方、将来の主権都市横浜にとって一番大事なのは中身そのものです。これには熟議を要します。

先ほど区のあり方まで大綱に盛り込んでいくということをお聞きしましたが、例えば区のあり方が、一つのプランのみで限定するのだとすれば、それは時期尚早だと考えています。

例えば区長公選や、区議会の設置などについても大綱策定の時点では、その可能性を排除しないようにすべきですし、観察単位としての海外成功事例も、場合によっては例示する必要があるのだろうと思います。
そこで、今後策定する大綱は、市と区のあり方等についても、今後の議論にも柔軟に対応できる内容にすべきと考えますが、小松﨑副市長の見解を伺います。


住民自治については様々な意見、手法が考えられます。特別自治市大綱の策定については、そういったさまざまな意見を踏まえながらできるだけ弾力的な対応が可能となるよう、議論を深めてもらいたいと思います。

ここまで、政策局にはビジョンある政策作りと、今後の市政運営のため、ないものねだりからあるもの探しの重要性等をお話してきましたが、それが反映される仕組みづくりが必要ですので、それを実行していただけるのであれば応援します。

最後に市長は施政方針演説で、「市会議員と、情熱をもって議論を交わせることを心強く思う」といわれましたが、実際に多くの場面で議員と対応するのは職員さんです。

これまでの意見交換を通して、職員がどのような職場を経験してきたかという情報を議員も知ることが、時間を無駄せず、また質の高い議論にとって効果的だと思いました。職員さんのキャリアは当該部署の施策形成に大きな影響を与えます。

そこで例えば、職員さんの名刺の裏側にこれまでのキャリアを記載するなど、やり方はあると思います。市の人材育成の考え方も知ることができますので、是非この点についても検討していただきたいということを要請して、私の質問を終わります。


当局の答弁はこちらの動画から→http://www.yokohama-city.stream.jfit.co.jp/vod_play.php?CNTID=80214&PREVPAGE=%CC%E1%A4%EB


《終わり》