「領域警備・海上保安庁強化法案」を提出(6月3日)
本日午後、立憲民主党の議員立法「領域等の警備及び海上保安体制の強化に関する法律案」(領域警備・海上保安庁強化法案)を衆議院に提出いたしましたので、ご報告いたします。
昨秋、政権交代に向け150名規模で結成された新党「立憲民主党」は、政権交代後の政策を担う「現実的」な実力を蓄えるべく、「外交・安全保障・主権調査会」を立ち上げ、日米同盟を外交・安全保障政策の基軸と見なす党として、そのあり方についての議論を行っています。
こういった中、昨年末には当調査会が取りまとめた「外交・安全保障分野における我が等の基本政策案」を政調会長に報告し、本年3月には党の基本政策において「海上保安庁の能力向上をはかるとともに新たな法整備を検討するなど、グレーゾーン事態に適切に対応します。」とお決めいただき、その後新たな法整備の検討の要請を受け、本日の法案提出に至った次第です。
■法案提出の背景について
2012年9月に尖閣諸島を国有化して以降、中国は10年以上にわたる長期戦略のもと、尖閣諸島周辺でのパトロールを常態化させ、公船の近代化や大型化を進めてきました。
このため、2012年当時、40隻しかなかった千トン以上の中国公船は、今や3倍以上の131隻となっています。これに対し、51隻を数えていた海上保安庁の巡視艇は現在66隻で、中国の半数に及びません。
海保は現在、沖縄県に尖閣の監視に専従する巡視船を12隻とし、さらに、尖閣を中心に北朝鮮漁船の違法操業などにも対応する巡視船を沖縄と鹿児島両県に3隻置いていますので、現場では、常時4隻で侵入する中国公船を圧倒していますが、将来的には懸念が残ります。
さらに、2016年8月には、200〜300隻の中国漁船と15隻の中国公船が尖閣海域に侵入するという事件が発生しました。この時、海上保安庁は、巡視船を全国からかき集めてなんとか対処できましたが、そうした場合の対処方法も確立しておく必要があります。
立憲民主党は、昨年9月の結党以来、外交安保主権調査会(篠原豪会長)を設けて、以上のような課題に対処する領域警備法を討議してきました。その結果、以下の3点を内容とする法案を提出することになりました。
1. 領海等における公共秩序維持のための活動は、第一義的に海上保安庁等の警察機関をもって行うことが基本原則であること
2. そのために、海上保安庁の船舶、航空機等の装備の増強、人員の養成等の海上保安体制の計画的な強化に資する「海上保安体制強化計画」を定めること
3. また、警察機関だけでは公共の秩序を維持することができないと認められる事態が発生した場合には、国土交通大臣からの要請に基づいて、自衛隊の部隊は、海上において海上保安庁が行う警備を補完するための行動、つまり「海上警備準備行動」を行うことができること、その際の自衛隊の武器使用は正当防衛と緊急避難に限られること
以上をもって、外交安保主権調査会の役員一同及び国土交通部会役員が本6月3日午後3時に、衆議院事務総長に対し直接、法案を手交し、正式提出とした次第です。
国民の皆様におかれましては、立憲民主党が平和主義を堅持しつつ、すぐにも政権を担うに足る現実的な安全保障政策を持つ政党であることをご理解いただくとともに、我が党の外交・安保政策に国民各層の幅広いご支持をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
令和3年6月3日
外交・安全保障・主権調査会長
篠原豪
【提出者】篠原豪、岡田克也、玄葉光一郎、中川正春、渡辺周、末松義規、小宮山泰子、小熊慎司、広田一、阿久津幸彦、村上史好、城井崇、重徳和彦、本多平直、亀井亜紀子
※立憲民主党(法案のPDFファイルあり)
https://cdp-japan.jp/news/20210603_1469
※動画(ぶら下がり)
https://youtu.be/b6FzpSGb-Ko